例えば、こんな一日

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折角の休日だから、思いっ切り朝寝を楽しもう。昨夜は確かに、そんな風に思ってた筈なのに。
余りの上天気が勿体無くて、ツイ普段通りに起きてしまう。
絶好の洗濯日和だものね。そうだ、布団も干さなきゃ。
我ながら、余りに所帯じみた自分の思考に失笑が漏れる。
先ずはシャワーを浴びて、寝ぼけた頭をスッキリさせて。
それから朝食の支度。久々にお手製ドレッシングでサラダを作ろうかしら?濃い目の紅茶とトーストを添えて。絵に描いた様な朝食にしよう。

朝食を終えて少し一服して。洗濯をして、布団も干して。
それでもまだ余る時間に、家中の掃除まで始めてしまう。
普段は多忙にかまけて放ったらかしだもの。タマの休み位、綺麗にしておかなきゃね。
大掃除さながら、窓硝子まで磨き上げて。暫し満足感に浸る。
頑張った自分を褒めてあげたい…なんて何処かで聞いた様な台詞も浮かんだりして。

気が付けば午後もかなり廻っている。中途半端な時間に、昼食は諦める事にした。
その代わり、夕食は少し豪華なメニューにしよう。でも一人でソレって、やっぱり虚しいかしら…?
クッキーと珈琲で空腹を宥めつつ考える。
否、それを言うなら。折角の休日にデートもせずに、大掃除なんかしてる事自体が問題かも知れない。
そんな風に自分にツッコんで見る。やっぱり莫迦みたい。
私は苦笑を浮かべつつも、買物に出る事に決めた。タマには自分に御褒美をあげても良いわよね。

買物のついでに花を買ってみた。せっかく綺麗にしたんだもの。そんな風に自分に言い訳をして。
小さな部屋で季節の花が穏やかに自己主張をしている。花なんて飾ったのは久し振り。そんな気持ちの余裕が嬉しくて。何だか心が華やぐ気がした。
浮き立つ気分のまま夕食を整える。ほんの少しだけ赤ワインも添えて。一人きりの静かな晩餐。

夕食の残りのワインをグラスに注いで、鏡に向かう。鏡の中に化粧を落とした自分の顔が映る。
女の化粧は武装だと、誰に聞いたんだったかしら?
素顔の私は少し青褪めた、でも穏やかな顔をしていて。こんな自分は嫌いじゃない。そう思えるのは悪くない気がする。

こんな風に、私の休日は終わる。
静かな一日。取り立てて何も無くて。緩やかに過ぎていく時間。ほんの少しの幸せが心を満たす。
そんな平凡な一日。
それだけの事。

 

―― Das Ende. ――


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