優しい嘘

幾度も幾度も、繰り返す
お前一人で全てを抱え込む事はない
お前は悪くないとその人は言う

その度に、心が揺れる
優しい言葉を寄越すから
それ故にあなたを信じたいと
絆されてしまいそうになる自分がいる

交互に心を支配する、願望と危惧
その言葉に真実はあるの?
あなたを頼っても良いの?
飲み込んだ言葉が、胸の奥で膨れ上がる

幾度も幾度も、繰り返し
お前を信じると言うその人になら
嘘なら嘘で、騙されても良いと
そう想ってしまいそうになる自分がいる

私があなたを信じられない様に
あなたも私を信じてなどいない
その事を、お互いに承知しているのに

幾度も幾度も、繰り返す
お前は決して間違ってなどいない
お前なら出来るとその人は言う

その度に、心が揺れる
欲しい言葉を寄越すから
それ故にあなたを信じたいと
流されてしまいそうになる自分がいる

心の奥底で、浮かんでは消える疑念
その気持ちに嘘はないの?
あなたを信じても良いの?
堰き止めた涙が、瞳の奥で溢れそうになる

それでも、尚
幾度も幾度も、繰り返し
私から目を逸らし、視線を遠く彷徨わせ
お前を信じるというその人を
それ故にこそ、信じてはいけないと
私は自分に言い聞かせる



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