ハッキリ言って、俺はかなりモテる。それが何故なのか、女性達が俺の何処を気に入ってくれたのか?実の処、この俺にもよく分からんが。
ソレは今に始まった事ではなくて。旅団に在席している当時から、俺は団内外の女性達と浮き名を流していた。ある時は団員とダンスを楽しんだり。またある時は、単独先で旧友の女性に突撃してみたり。滞在先で女性から告白された事も数知れず…。
そういえば部下の恋人を横からかっさらっちまった事もあったな。否、マジで。
二度目の妻が婚約前に付き合っていた海賊船長は、実は団長と俺の旧友で。しかも、この俺の指揮する二番隊に所属していたんだ。
そして旅団を脱退した後も、俺のカサノバ振りは全く変わらなかった。
二度目の結婚生活を送った星の街では、未婚のお嬢さん達から片思いされたものさ。―― 俺の方は妻一筋だったがな。こう見えても俺は意外と愛妻家だったから。
単独の旅人になってからも、既婚・未婚、年齢、知己の有無を問わず、様々な女性から想いを寄せられている。
言っておくが自慢してる訳じゃないぜ?俺はただ単に、事実を述べているだけだ。
遂には某氏から『バース界の貴公子』なんて派手な仇名を頂いてしまった。彼がどんな積もりで俺をそう呼んでいるのか、未だ謎。褒めてるんだか、或いは揶揄ってるんだか…?
だけど俺は色恋沙汰を楽しんでる訳じゃない。そんな気にはなれないんだ、本当に。
特にお相手の女性がまだ入国したてだったり、真剣に結婚を望んでいたりすると。俺はその期待には応えられないと、彼女達には相応しくないのだと、伝えなければならなくて。ソレはかなり切なくて、流石の俺も少しばかり落ち込むんだ。
だけど所詮は旅人。いずれは彼女達を置いて、新しい地へと去ってしまう。だから俺は、行きずりの恋を楽しめる、そんな女性としか付き合わないと決めている。俺が女性達に対して示せる、ソレが唯一の誠意だと思うから。
…とかとか、無意味に格好付けてみたりなんかして。
でも実際、マジでそう思ってるんだぜ。こう見えても割と誠実な男だからさ。
だから、もし何処かの街で俺を見掛けたら。君が素敵な女性で、こんな男と暫し付き合ってやっても良いと思えるなら。是非、声を掛けてくれ。何時でも待ってる。
―― 我ながら、懲りない奴だと、つくづく思う…。
Giovanni Giacomo Casanova
イタリアの文人。
聖職を志すも不行跡の為、投獄。その後は欧州各地を放浪、恋と冒険の生涯を送った。晩年の著作『回想録』は好色文学とされていたが、風俗や心理描写が再評価されている。